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北海道では年間2000件以上もの動物と列車との衝突事故が発生しています。もし乗車中の列車が動物と衝突した場合、どのくらいの時間で運転が再開されるのでしょうか?
衝突の合図
列車の近くに鹿がいることを運転士が確認した場合、通常は汽笛を鳴らしながら急減速し、鹿が線路から退避するのを待ちます。
運転士が汽笛を止め、非常ブレーキで列車を完全に停止させた場合は、何らかの動物と接触したと考えて良いでしょう。
衝突後、運転士と車掌が連携を取り、以下のような内容のアナウンスが流れることがあります。
「ただいま、動物と衝突しました。急停止によりお怪我をされたお客様がいらっしゃいましたら、車掌までお申し付けください。」
車掌が車内を巡回した後、動物の種類に応じて、状態確認や死骸の除去などの対応を行い、運転再開を目指します。
鹿との衝突
北海道全域に分布するエゾシカは、列車に乗っているとよく見かけることができます。
鹿との衝突は日常茶飯事と言えるほど頻繁に発生しており、通常であれば10〜15分程度で運転を再開できます。
しかし、衝突した鹿の死骸が車両の下に挟まってしまった場合や、衝突地点がヒグマの出没が多い地域だった場合は、安全確認に時間を要するため、1時間以上の遅延が発生することもあります。
ヒグマの出没が多い地域で停車した場合、安全が確認できる最寄りの駅まで低速で移動し、そこで安全確認を行うケースもあるようです。
熊との衝突
鹿との衝突に比べれば頻度は低いものの、年間50件以上発生している熊との衝突。この場合、運転再開まで少なくとも2時間以上は覚悟しておいた方が良いでしょう。
鹿は臆病で警戒心が強いため、乗務員が列車から降りて状態を確認しても危険は少ないと判断できます。
しかし、熊の場合は、まだ息がある可能性や、轢かれたのが子熊で近くに母熊がいる可能性も考えられます。そのため、乗務員が直接状態を確認することができません。
熊と衝突した場合、ハンターを呼んで安全を確保した上で処理を行うか、近年導入された「クマキャッチャー」と呼ばれる専用の除去装置を用いて処理を行います。
ハンターの到着やクマキャッチャーの手配には時間がかかるため、鹿との衝突に比べて大幅な遅延が発生してしまうのです。
通称、クマキャッチャー
宗谷本線を中心に道内4箇所に配備
画像はJR北海道発行の鹿、熊の列車運行への影響件数情報のプレスリリースより引用しました。